2008年10月19日

コケのある風景~その1

コケが存在が、その場に何とも言えない味わいをもたらしている様を「コケのある風景」と題し、スポット的にシリーズでお届けします。本当にシリーズになるかは分かりません。

第1回は、今夏訪れたアラスカのキーナイ半島にあるホーマーという町の港から。
この港は大きな観光スポットであり、クルージングやハリブット(ヒラメの仲間)釣りの一大拠点でもある(写真参照)。

人の背丈ほどもあるハリブット。でかい・・・。

ここには、この港のシンボルである木造灯台の1Fに、これまた港のシンボル的存在のSalty Dawg Saloonという木造のパブがある。築100年くらいだそうだ。この木造パブの軒先に見事なコケのコロニーが形成されていた。その緑の美しかったこと。美しさにハッとさせられ、シャッターを切った。パブに入ろうとする年配女性に、この人はコケなんか撮っているよ、と笑われたけど。まあ、どこの国でもコケはマイナーである。


木造灯台と木造パブSalty Dawg Saloon。


パブの軒先。うっすらと見える緑色がコケのコロニー。


軒先に点在するコケのコロニー。何とも言えない味わいを出している。


別の軒先。


コロニーの拡大。
このコケは、ヘチマゴケの一種(Pohlia sp.)である。

  

Posted by 上野健 at 01:43

2008年10月08日

磯の臭い

独特の臭いを独自に有するコケ植物はいくつか知られているが、種を超えてコケ植物が広く共有している臭いがある。それは、「磯臭い」ということである。もちろん、すべてのコケ植物が磯臭さを有している訳ではなけど、野外で採集してきたコケを室内で触っていると、磯の臭いがするなという経験を幾度となくしている。この臭いの元は、硫化ジメチル(DMS)ではないかと思っている。硫化ジメチルは、海藻や植物プランクトンが直接発したり、分解されるときに出される化学物質で、いわゆる磯の香りの主要成分である。実は多くのコケ植物もこの硫化ジメチルを体内で持っており、コケ植物全般で確認される唯一の硫黄化合物だそうだ。ミズゴケを食したときに感じた臭いもこれかもしない。
ところで明日、アンガールズの田中さんがコケの魅力について熱く語る番組がNHKで放送される予定です。
興味のある方はどうぞ。
「大人のための3分教養講座さんぷんまる」という番組です。
http://www.nhk.or.jp/3punmaru/archive.html  

Posted by 上野健 at 23:53