2008年02月12日

昆虫たちの擬態

ある物事に関心を寄せているとそれに関する情報や出来事に思いがけなく出くわすことがよくある。思いがけない出会いなので喜びもひとしおである。今回の話題もそういう出会いで見つけた。
昨日、デパートのなかにあるちょっと大きめの本屋にふらっと立ち寄り、生き物に関する本を集めてあるコーナーに行ってみると、子供の科学 サイエンスブックス「昆虫たちの擬態」という本に出会った。それは目立つところに飾られていたので、誰でもそこに行けば出会えるわけだけど。おもしろそうだな、と何の気なしにページをパラパラとめくっていると、「苔」に擬態する見事な昆虫の写真が目に飛び込んできた(なんという偶然。コケに擬態する生き物のことを、このブログで扱ったばかりじゃないか!)
実際には苔といってもそのほとんどが地衣類のことを指しているのだが、コケ植物への擬態もないわけではない。著者の海野和男さんは有名な昆虫写真家で、擬態に関するものを含めこれまでに昆虫の本を何冊も書かれている。よって、掲載されている写真は初出のものではないかもしれないが、私にとってはどの写真も新鮮で、作品としての写真と被写体となった昆虫たちのからだの作りの巧妙さに感動した。そのままレジに行き、購入した。おすすめです。

子供の科学 サイエンスブックス「昆虫たちの擬態」
海野和男(写真と文)、誠文堂新光社、2310 円(税込み)。
http://www.amazon.co.jp/%E6%98%86%E8%99%AB%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AE%E6%93%AC%E6%85%8B%E2%80%95%E6%98%86%E8%99%AB%E3%81%AE%E9%A9%9A%E3%81%8F%E3%81%B9%E3%81%8D%E6%88%A6%E7%95%A5%E3%80%81%E5%A8%81%E5%9A%87%E3%81%8B%E3%82%89%E3%82%AB%E3%83%A0%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%81%BE%E3%81%A7-%E5%AD%90%E4%BE%9B%E3%81%AE%E7%A7%91%E5%AD%A6%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E6%B5%B7%E9%87%8E-%E5%92%8C%E7%94%B7/dp/4416208030/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=gateway&qid=1202550826&sr=8-1  

Posted by 上野健 at 00:29

2008年02月07日

イシカワガエル

前回の記事で、脊椎動物の体色や模様がコケのようなっている例としてイシカワガエルを挙げ、それが保護色となっているかのような示唆をした。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%82%AB%E3%83%AF%E3%82%AC%E3%82%A8%E3%83%AB
つい先日、カエルを専門とする大学の先生にお会いする機会があったので、イシカワガエルの体色はコケ植物に擬態するための色ですか?と訊ねてみた。すると、こんな答えが返ってきた。まず、一般論として、生き物の体色が背景の色に擬態するものかどうか判断するは難しい。イシカワガエルはそれほど苔むした場所に生育していない。イシカワガエルを含め、カエルの体色がコケ植物に擬態するためのものなんて聞いたことがない(つまり、研究者レベルではそういう事実はないということ)。イシカワガエルの鮮やかな体色はむしろ警戒色ではないかという研究者もいるとのことでした。
真実はどこにあるか分りませんが、ネットで得た情報を鵜呑みにして、軽々に披露しない方がいいですね。
反省反省。もっと勉強しようっと。

  

Posted by 上野健 at 10:35