2012年01月06日

輝くコケ

更新が遅くなりました。
2012年、辰年。
今年もよろしくお願いします。

コケがキラキラ。
光が溢れているように見える写真です。

フトリュウビゴケLoeskeobryum cavifolium (Sande Lac.) M. Fleisch. ex Broth.
太(い)、龍(の)尾(のような)苔。  

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2011年12月25日

ミニチュアのツリー?

今日はクリスマス。
クリスマスツリーにはモミやトウヒの木が使われますが、もし、コケを使ってミニチュアのクリスマスツリーを作るんだったら、ホンシノブゴケが材料候補の一つに入ってくるでしょう。


ホンシノブゴケBryonoguchia molkenboeri



シュートを拡大してみると、主軸から枝が四方に出ているのが分ります。樹木っぽい。



落ち葉が積もった地面にホンシノブゴケがコロニーを作っている様子。
枯れた落ち葉とのコントラストがいい感じ。


倒木上のホンシノブゴケ。これまたいい感じ。
上記写真は、すべて北海道のポンポン山。
メリークリスマス。  

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2011年12月18日

コケの環境形成能力

植物は、生えている場所の環境をがらりと変えてしまう能力をもっている。
コケ植物も例外ではない。
もちろん、植物によって生えている場所に与える影響は様々である。
コケ植物はというと、生態学的には保水力を高めたり、小さな動物たちに棲みかや産卵場所を提供したり、または維管束植物の苗床となったりと色々な効果が挙げられると思うのだが、何と言っても、「癒しの空間」を作り上げることではないかと、最近つくづく思う。



北海道釧路湿原キラコタン岬の湧水地。
量的にはそれほど多くはないのだが、倒木や砂が堆積した場所にコケ植物が生えている。
それだけでも、独特の癒し空間が出現してしまう。
これはその場に立ってみなければ、分らないことだろう。写真ではうまく伝わらないかも。



上と同じ場所の寄り写真。



さらに寄り。




生えているコケは、ミズシダゴケが優占。



ミズシダゴケ。



そこに、フロウソウも混じる。なんともかわいい。



  

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2011年12月11日

加湿器


我が家でたまに活躍する加湿器です。
「ミスティガーデン」という商品です。
使い方は、プラスチックのトレーに水を張り、植物の形に切れ込みが入っている「フィルター」を入れるだけ。
トレーの中の水がフィルターに吸収され、フィルターから水が蒸発していくという仕組みです。
とても原始的です。
トレーにただ水を張るより何倍もの水を蒸発させ、切れ込みを細かくすればするほど、蒸発する水の量が増えるということ。水が蒸発していく面の面積を大きくするか、小さくするかということです。
コケのシュートの形やコロニーの形の原理に似てますよね。


トレーの中に水が入っていてフィルターもまだ全体的に湿っていても、先端部分は乾いています。色がちょっと変色していますね。この加湿器、コケの水分生理を考える上でもよい材料になりそうです。



湿地でシュートが疎らなコロニーを形成するオオササバゴケCalliergon giganteum
(カナダ北極エルズミア島)




乾燥地でシュートが密なコロニーを形成するシモフリゴケRacomitrium lanuginosum
(ノルウェー北極スピッツベルゲン島)

  

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2011年12月04日

コケの存在感

コケは、体が小さいながらも、圧倒的な存在感を持っている、と思う。
それは私が苔眼(こけめ)になっているから感じるという訳だけではないだろう。


ミズナラの古木(北海道釧路湿原キラコタン岬)。





その幹にコケが生していると、古木に何とも言いない味わいをもたすことになる。
もちろん、体の大きな樹木に存在感があるのは言わずもがな。



コケの種類は、シッポゴケ属の仲間(Dicranum sp.)。
地衣類も着いているのだけど・・・。




コケとシダの組み合わせもいいですね。
シダの種類はミヤマノキシノブ。  

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2011年11月27日

鼠の尾苔

「ブログ更新しないの?」
このブログの存在を知っている何人かの人に、直接会ったときに言われた言葉。
すいません。
しばらくぶりの更新です。
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コケの調査をしていると、じつに色んなコケとの出会いがある。
が、いつしかコケの美しさに「馴れっこ」になってしまったりする。
それでも、コケに美しさにハッとさせられることがなくなることはない。
今回紹介するコケは、今年の11月に行った湿原調査の帰り道に出会ったネズミノオゴケというコケ。
釧路湿原周辺部の湧水地にある森林の枯れ落ちた樹の枝の上に生えていたネズミノオゴケ。
心の中で思わず、「うわぁーっ」と声をあげてしまった。




ネズミノオゴケMyuroclada maximoviczii
水たまりに映った空の青さとコケの緑色がいいコントラストになっていて、何とも言えない色味を作りだしている。コロニーの形状もまたおもしろい。コロニーの長径は20cmほど。じつは、今までネズミノオゴケをこれほど美しいと思ったことはあまりなかった。



上記のコロニーを別の角度からみたもの。



ネズミノオゴケの名の由来は、植物体が鼠(ねずみ)の尾っぽに似ているところからきているらしい。
鼠の尾っぽに見えますか?
ちなみに、昔(明治期)はヒメトラノオゴケと呼ばれていたらしい。
小さな(ヒメ)、虎の尾苔という意味ですね。
その当時のトラノオゴケは、現在のトラノオゴケとは違う種なのですが。


コロニーの内部にはまだ伸びきっていない若い植物体が待機している。
11月にこの状態なので、このまま冬越しをするのであろう。


古い植物体が枯れ、この若い植物体が翌春伸びてコロニーの骨格を形成するのであろう。
コロニーの中でちゃんと更新が行われているのである。  

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2011年04月24日

小さなもの

小さなもの。
コケ植物の特徴を表す言葉の一つだ。

童謡「ぞうさん」の作詞家として知られる、まど・みちおさんが発信した言葉を集めた
「どんな小さなものでも みつみていると 宇宙につながっている 詩人まど・みちお100歳の言葉」
(新潮社)という本がある。そこには、まどさんが抱く、小さな存在に対する思いがたくさん記されている。
それを以下に、抜粋してみる。

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小さければ小さいほど、それは大きなモノになる。
そして、その小さなモノを見た時に、胸をつかれたように驚いて。
…なんでもないものの中に、
こんなに素晴らしい内容があったのかと、
そんな驚き感じることが、詩を書く心、絵を描く心です。
私たちがアートと言い慣らしているものの全ては、
そうした感情につき動かされて生み出されたものだと思うのです。


*****************************
小さいほど大きくて、
大きいほどちっぽけである。


*****************************
小さいものほど
大きな理由がある。





ムカデネジレゴケ


*****************************
どんな小さなものでも
みつめていると、
宇宙につながっている。


コケ植物と向き合っていると、まどさんの気持ちが少しは分かるような気がする。


  

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2011年04月08日

毬のようなコケ


毬(まり)のような形をしたコケの塊。「毬ゴケ」と称される。


北海道東部にある屈斜路湖では、湖岸に「毬ゴケ」がたくさん転がっている様子がみられる。
「毬ゴケ」は、実際には毬のようにきれいな球状のものばかりではなく、繭玉のようなものや饅頭のようなものなど、様々な形のものがみられる。


この「毬ゴケ」は、元々水底に生えていたウカミカマゴケ(上の写真)の植物体が物理的にちぎれ、湖岸に打ち寄せる波の作用で寄り集まり、丸まったものと考えられている。



このウカミカマゴケの「毬ゴケ」は、枯死した植物体を使った単なる自然の造形物というものだけではない。たくさんの「毬ゴケ」が集まってくると、ウカミカマゴケが生育しやすい泥炭湿地のような環境が作り出される。そして、「毬ゴケ」のなかに発芽可能な植物体が残っていると、新たなウカミカマゴケが成長を開始するのだ。


湖岸に出来た新たなウカミカマゴケの群生地。



太陽の光に照らされる「毬ゴケ」。
希望という言葉が脳裏に浮かぶ。





  

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2011年03月14日

祈り

地震のことに触れずに、記事が書けません。
非科学的とバカにされるかもしれませんが、祈るという行為には大きな力があるような気がしています。


東北の地、青森県八甲田山にあるミズゴケ湿原にできた池塘。
ミズゴケが写真では確認できないのが残念ですが、この池塘の土台はミズゴケが作っています。



今回の地震、津波で被災された方々が、少しでも心安らかな時が過ごせますように。






以下のURLは、シビック・フォースという災害支援を目的に作られた公益法人のHPです。
http://civic-force.org/index.html
災害支援のプロで、現在、東日本大震災の緊急支援事業を展開中です。
中越地震の時の体験をもとに設立された団体だそうです。
いろいろな形で被災者を支援することができます。

  

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2011年03月02日

二回連続

決して意図したわけではなかったのですが、休眠していたブログを蘇らせます。
新しい年が明けて2カ月以上経ってしまったわけですが、新年明けてすぐにおもしろいことがありました
(とても些細なことです)。覚えている方もいらっしゃるかもしれませんが、一年以上前に、茨城県にある筑波山神社で苔の歌の載ったおみくじを引いたことを記事に書きました。以下参照。(http://sphagnum.chesuto.jp/e269363.html
で、今年の正月、その筑波山神社にお参りに行き、おみくじをまた何の気なしに引きました。
そしたら何と、その時に引いたおみくじと同じ番号のものをまた引いてしまいました。



筑波山神社のおみくじで、二回連続同じものを引いたということです。
すごーく、引きが強いと思いませんか?
どのくらいの確立なんでしょうか・・・。
とても些細なことですが、私にはとてもおもしろい出来事でした。


  

Posted by 上野健 at 14:31Comments(2)TrackBack(0)

2010年11月01日

赤と緑

紅葉の季節ですね。
先日、北海道にコケの調査で行った際に、屈斜路湖の近くにあるポンポン山に行く機会を得ました。
じつは目的地であるポンポン山に行く途中で道に迷い、山の中を少し彷徨ったのですが、その時何とも綺麗な「自然庭園」に出くわしました。そこに行き着くまでの景観はミズナラ、ホオノキ、シナノキなどの落葉広葉樹によって作られた茶色い世界だったのですが、その「自然庭園」はいくつかのカエデ類によって作られた赤と黄色の世界でした。そこにコケたちが緑色を添えていて、いい具合の色彩になっていました。紅葉の赤とコケの緑、いいですよね。写真ではうまく色が出ていないかもしれませんが、ご覧ください。


赤や黄色に染まったカエデ類の落ち葉によって埋め尽くされた林床。
ここの紅葉のピークはとっくに過ぎているので、本当のところ、落ち葉の色はけっこう色褪せています。
そこにはコケの緑もあるのですが、写真ではよく分からないですね。


コツボゴケ。



そのコケを拡大。



ハイゴケ。



シッポゴケの仲間の集団。



その拡大。ハイゴケも見えます。
カエデの種子がコケの上に乗っかっていますね。  

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2010年10月22日

払沢の滝

東京の西端、桧原村に払沢の滝という滝があります。
ここは都心からだいぶ離れてはいますが、アクセスがしやすく、おススメです。
高い空中湿度、湧き出し水の存在のおかげだと思いますが、車道から滝までの道も全体的に苔生しています。コケの気、自然の気を存分に頂けること間違いありません。
最近、「パワースポット」ブームですが、いくつかの本で「パワースポット」と紹介されている場所でもあります。ふと思うんですが、「パワースポット」と呼ばれている場所は、苔生しているところが多いような・・・。ということは、苔生している場所は、それだけで「パワースポット」なのかもしれません。コケ好きの人にとっては、それだけで十分かもしれないですね。戯言でした。


払沢の滝。美しいです。


コケの緑ときれいな水。これだけで十分ですね。



古い木製の朽ちかけた案内板も苔生しています。


上と同じ案内板の一部です。  

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2010年09月07日

日本最東端のコケ?

先日、北海道にコケの調査に行った際、納沙布岬に立ち寄りました。
日本最東端の地ということで、そこに生えていたコケを紹介します。


まずは、場所を確認。納沙布岬の灯台の敷地にある案内板です。
納沙布岬からは歯舞諸島が見えるはずですが、この日はガスがかかっていて見えません。



その代わり、虹が見られました。七色には見えないけど。



立ち入り禁止の看板がありました。許可なく行けるところの最東端です。多分。


上の看板の下に生えていたコケ。日本最東端のコケです(厳密にいうと違うかもしれないけど)。
それは、ヒメジャゴケでした。
がっかりしましたか?
実際にはヒメジャゴケだけではなく、ハリガネゴケ属のコケもいます。


ヒメジャゴケ。
人が作り出した環境には、日本全国、どこにでもみられる普通種が結構顔を出しますね。
ただ、日本のヒメジャゴケには、北タイプと南タイプという2つの「型」が存在しているらしく、
その分布境界は、北海道の北緯42~43度の辺りにあるといいます。そして、その分布境界はブナ林の北限に一致するらしいです(以下の参考文献参照)。納沙布岬のヒメジャゴケは北タイプなのかな。

参考文献
美和秀胤(2001)ヒメジャゴケの問題点。プランタ第78号、29-36。
  

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2010年08月22日

水に滴るコケ

前回、等々力渓谷のコケを紹介しましたが、不動の滝に群生するケゼニゴケを写真でうまくお伝えできませんでした。先日山口県で開催されたコケ学会のエクスカーションで訪れた雙津峡にてケゼニゴケの写真を撮ることが出来たので、その写真を掲載します。やはり、水に滴るコケはきれいですね。
癒されます。


水に滴るケゼニゴケ。


その寄り写真。



さらに、寄り。


さらに、やや寄り。
植物体が透けているのが分かります。


BGMに水琴の音は如何でしょうか。



  

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2010年07月26日

都心の苔スポット

東京23区で唯一の渓谷、等々力渓谷。
浸み出し水と空中湿度の高さの影響で、遊歩道脇が全体的に苔生しています。苔生すポット?
ここに特別珍しいコケがあるというわけではありませんが、コケの存在感が光っています。


等々力渓谷のマップ。


案内板。


等々力駅方面からの入口。


苔生したコンクリート。


石積みの護岸もうっすら苔生す。


自然石も苔生す。


コケ生した遊歩道脇。


湧水汲み場。


不動の滝。不動明王を祀ってあります。


ここでは滝行も行われているとか。


一面苔生した岩壁を水が流れ落ちてます。水に滴るコケは、何とも言えない清々しさを感じさせます。
主なコケはケゼニゴケ。


不動の滝の傍にある休み処の屋根も苔生しています。いい感じです。  

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2010年06月23日

コケがクモキリソウを育んだ?

山梨県都留市の大学にある小さな野草園に、クモキリソウというランの仲間が新しく加わった。自然に生えてきたそうだ。その野草園は地表面をコケが覆っているので、コケがあることがランの定着を促したのかなと思ったけれど、この種は別にコケがない地面にも普通に生育しているそうなので、コケに何か特別な意味はなさそうだ。 


比較的大きな葉を2枚展開しているのがクモキリソウ。


クモキリソウの葉のアップ。


根元のアップ。
コツボゴケとネズミノオゴケが根元を覆う。  

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2010年06月11日

ミズゴケ湿原のハンモック

ミズゴケ調査ため、釧路に来ています。
この時期、まだハンモック(ミズゴケの遺骸が堆積して隆起した地形)が草本で覆われていないので、その存在がとても分かりやすいです。


釧路湿原のミズゴケが生育している場所に形成されたハンモック群。
その高さは30~40cm程度。  

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2010年05月23日

コケのコサージュ

コケでコサージュを作りました。
大学院のときの指導教官(コケ学の先生)に退官記念パーティーで使っていただくためです。
コケだけで作ったコサージュは世界初?かもしれません。
使ったコケは、ヒノキゴケ、スギゴケ、コウヤノマンネングサの3種類。生花のコサージュに比べると相当地味ですが、コケならではの深い味わいがあります。ただ、コケのコサージュは相当地味であるということのほかにも、いくつか難点を抱えています。
コケのコサージュはすぐ乾きます。2時間持ちません。パーティーの途中で干乾びてしまいます。また、フレッシュな状態にしようと霧吹きで水をかけると独特な香り(磯の臭い?)も発します。それらが気にならないのでしたら、コケ好きの方に手作りのコケのコサージュをプレゼントするのもいいかもしれません。
そんな物好きな人はいませんね。


乾いた状態のコケのコサージュ。
左が男性用で、右が女性用。


乾いた状態のコサージュ(男性用)のアップ。



霧吹きで水をかけて湿らせた状態のコケのコサージュ。
左が男性用で、右が女性用。


湿った状態のコサージュ(男性用)のアップ。


湿った状態のコサージュ(女性用)のアップ。



実に久々の投稿です。
3月末で極地研を退職し、現在はフリーで研究をしています。  

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2010年01月05日

富士山頂のコケ

「あっ、富士山だ!」
富士山が見えた途端、誰もがそう声を出し、笑顔になる。

今年最初の東京新聞サンデー版に、日大芸術学部の講師の先生が寄稿した「楽しく心温まる富士山ウォッチング」の冒頭である。まさに、そうである。富士山のもつ底知れぬ癒しの力である。
その富士山の山頂、剣が峰(標高3776m)周辺には何とも鮮やかな緑色に輝くコケの大きなコロニーが点在している。夏の間、岩礫の下に存在するという氷(永久凍土?)が融けてコケを涵養しているのだ。


富士山頂に生育するコケ植物の一つ、ヘチマゴケPohlia nutansのコロニー。

日本で最も高いところに生育するコケ植物の一つであると同時に、日本で最も高いところに生育する陸上植物の一つでもある。
  

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2009年12月31日

これもホシガラスの仕業?

高山でコケ植物が形成する厚いコロニーからハイマツが芽を出しているのをたまに見かける(下の写真)。

コケ植物(シモフリゴケ)のコロニーで芽生えたハイマツ(南アルプス間ノ岳)。

また、コケのコロニーを採集したときにその中からハイマツの種子が出てきたこともあった(下の写真)。

コケ(たぶん、Grimmia sp.)のコロニーの中から出てきたハイマツの種子(南アルプス間ノ岳)。

何で、こんな所にハイマツの種子が埋まっているんだろうと思っていたのだが、最近「高山植物の自然史」という本のページをめくっていたら、ハイマツの種子をエサとして利用しているホシガラスがそれを地中に貯蔵し、後から回収して食べるという記述を見つけた(梶本 2000)。そして、貯蔵された種子はすべて回収、摂食されるわけではなく、中には忘れ去られるものもあるという。その忘れ去られた種子が発芽、定着することによって、ホシガラスはハイマツの種子散布を手助けしているらしい(梶本 2000)。ということは、コケのコロニーから発芽したハイマツの種子やそのなかにあったハイマツの種子は、ホシガラスが運んできて埋めた可能性が十分考えられる。コケのコロニーは周囲の礫や土壌に比べて保水力が抜群に高いので、ハイマツの種子が発芽、成長する上で大変好都合だと予想される。ただ、ハイマツが大きくなって根を十分伸ばせる場所がコケのコロニーだけで足りるかというと、そうではないだろう。コケは土壌がある場所に必ずしもコロニーを作っているわけではないので、岩礫の上に発達したコケのコロニーのなかでハイマツの種子が発芽したとしても、その後成木に育っていくかどうかは分からない。もし、コケのコロニーがハイマツが将来根を伸ばせる場所の上に形成されていて、そこにホシガラスがハイマツの種子を埋め、その埋められた種子が回収されなかったとすると、そのハイマツの種子は、ほかの場所に埋められた場合よりも発芽率、生存率が高くなるかもしれない。ところで、ホシガラスはコケのコロニーのなかに選択的にハイマツの種子を埋めることはあるのだろうか?


ホシガラス。
オンライン野鳥図鑑
http://www.yachoo.org/Book/Show/674/hosigarasu/
より


参考文献
梶本卓也(2000)ハイマツ群落の成立と立地環境.高山植物の自然史(工藤岳編著),pp.84-98.北海道大学図書刊行会.
  

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