2009年07月28日

多細胞だけど、単細胞的?

コケ植物は多細胞生物であり、もちろんコケの「葉っぱ」もたくさんの細胞から成り立っている。
だけど、コケの「葉っぱ」の主要部分はたった一層の細胞層なので、それを構成する各細胞が外界と接することになる。つまり、コケ植物はまさに細胞レベルで、外界とのやりとりをし、代謝活動を行っているのだ。この「葉っぱ」の主要部分を構成する細胞の細胞壁、細胞膜にどのような秘密が隠されているか、じつにおもしろい研究テーマではないか。


ホンモンジゴケの配偶体。
いい写真ではありませんが、「葉っぱ」が透けてみえるのが分かりますか?  

Posted by 上野健 at 23:59

2009年07月18日

杉、苔 

倒木の上に直立して生える植物は杉の実生。杉苔ではない。
苔むした倒木の上に生える樹木の実生は絵になる。
苔の存在が杉の実生にどのような影響を与えているか知りたいところである。
苔が実生の生存になくてはならないというわけではないだろうが、何の影響も与えないわけでもないだろう。
写真は、茨城県の筑波山に今年の5月初旬に登ったときのもの。


苔むした倒木上に生える杉の実生~その1


苔むした倒木上に生える杉の実生~その2
コケをサンプリングしていないので、倒木上に生えている全てのコケをこの後も知り得ないが、
ホソバオキナゴケはその一つ。


苔むした倒木上に生える杉の実生~その3


  

Posted by 上野健 at 22:55

2009年07月11日

コケって枯れるの?

コケが脱水耐性をもっているという話を人にすると、じゃあ、コケって不死身なの?コケっていつ枯れるの?
とよく聞かれます。もちろん、コケは不死身ではなく、脱水状態に陥る過程でうまく休眠できずに枯死することもあります。そのほか、コケはカビに感染して枯れることもあります。写真はノルウェーのスピッツベルゲン島でみられたカギハイゴケがカビに感染して枯れている様子です。コケに感染したカビが同心円状に広がってドーナツのような輪っかをつくっている様子が見えますか?古い文献ではこの輪のことををフェアリー・リング(妖精の輪)と表現しています。

  

Posted by 上野健 at 12:05