2011年04月24日

小さなもの

小さなもの。
コケ植物の特徴を表す言葉の一つだ。

童謡「ぞうさん」の作詞家として知られる、まど・みちおさんが発信した言葉を集めた
「どんな小さなものでも みつみていると 宇宙につながっている 詩人まど・みちお100歳の言葉」
(新潮社)という本がある。そこには、まどさんが抱く、小さな存在に対する思いがたくさん記されている。
それを以下に、抜粋してみる。

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小さければ小さいほど、それは大きなモノになる。
そして、その小さなモノを見た時に、胸をつかれたように驚いて。
…なんでもないものの中に、
こんなに素晴らしい内容があったのかと、
そんな驚き感じることが、詩を書く心、絵を描く心です。
私たちがアートと言い慣らしているものの全ては、
そうした感情につき動かされて生み出されたものだと思うのです。


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小さいほど大きくて、
大きいほどちっぽけである。


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小さいものほど
大きな理由がある。





ムカデネジレゴケ


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どんな小さなものでも
みつめていると、
宇宙につながっている。


コケ植物と向き合っていると、まどさんの気持ちが少しは分かるような気がする。


  

Posted by 上野健 at 05:43

2011年04月08日

毬のようなコケ


毬(まり)のような形をしたコケの塊。「毬ゴケ」と称される。


北海道東部にある屈斜路湖では、湖岸に「毬ゴケ」がたくさん転がっている様子がみられる。
「毬ゴケ」は、実際には毬のようにきれいな球状のものばかりではなく、繭玉のようなものや饅頭のようなものなど、様々な形のものがみられる。


この「毬ゴケ」は、元々水底に生えていたウカミカマゴケ(上の写真)の植物体が物理的にちぎれ、湖岸に打ち寄せる波の作用で寄り集まり、丸まったものと考えられている。



このウカミカマゴケの「毬ゴケ」は、枯死した植物体を使った単なる自然の造形物というものだけではない。たくさんの「毬ゴケ」が集まってくると、ウカミカマゴケが生育しやすい泥炭湿地のような環境が作り出される。そして、「毬ゴケ」のなかに発芽可能な植物体が残っていると、新たなウカミカマゴケが成長を開始するのだ。


湖岸に出来た新たなウカミカマゴケの群生地。



太陽の光に照らされる「毬ゴケ」。
希望という言葉が脳裏に浮かぶ。





  

Posted by 上野健 at 03:11